Falcon 2000

■装置概要

Falcon2000は低周波電磁誘導法(LFET)を使用したタンク底板や側板、または配管などを高速で全面探傷することを目的に開発された装置です。

■装置仕様

重量探傷器本体…3Kg  
Sr.スキャナー…10Kg  Jr.スキャナー…2Kg
センサーSr.スキャナー…コイル64個(有効幅310mm)
Jr.スキャナー…コイル16個(有効幅100mm)
走査速度最大4500mm
位置検出精度±5mm(LEDによる欠陥位置表示)
適用板厚1~12mm
コーティング厚さ0~5mmまで探傷可能(種類不問)
検出限界減肉率20%の密集欠陥
φ3貫通孔(すり鉢状欠陥φ0.5の検出実績あり)
欠陥評価精度±10%
探傷不能範囲溶接線の交差する120×120mm(UT手探傷で実施する)
使用電源AC100V/220V(バッテリーも可能)

■原理

低周波電磁誘導法(LFET)とは低い周波数(5~27Hz)を鋼板に与えて、欠陥があった場合に漏洩する磁束を検出コイルアレーでピックアップする検査方法です。通常の渦流探傷と異なり低い周波数を使用することで板全体の磁場の浸透がより均等になり、鋼板でも表面だけでなく裏面の欠陥も検出することが可能になります。欠陥の評価にはPHASE信号を使い、Log(AMP)信号は、欠陥とノイズの判断に使います。PHASE信号とLog(AMP)信号を同時に見ることが出来れば、リアルタイムに欠陥の評価を行うことが出来るようになります。電磁誘導法には、表面感度が裏面感度に比べて異常に大きな装置もありますが、ファルコン2000はその差が少ないことも特徴です。そのため、表面腐食のある板の探傷も問題ありません。

■タンク底板の検査

タンク底板の全面探傷を効率よく実施できます。一般にアニュラーなどの側板近傍の腐食が危険視されていますが、土壌整備の不良によって内部のタンク底板に貫通欠陥が発生する事例は珍しくありません。ファルコン2000はこのような腐食に対して有効な装置です。またスキャナーが小型であることから探傷不能範囲が少ないという特徴もあります。

タンク底板欠陥分布図 サンプル

■タンク側板、天板の検査

タンクやタワー等の側板、天板などを外側から面探傷します。ファルコン2000は内容物の影響を受けないために稼働中の検査も可能です。

■犬走りの検査

タンクの外側に張り出している犬走りをファルコン2000で検査することで、タンク内部の状況を推定します。これはタンクの腐食の1つのパターンとして雨水が犬走り部から侵入し周辺部から腐食が進展していくということが想定されるためです。つまり犬走りに腐食が発生していれば雨水の侵入が認められ、底板内部にも腐食が発生している可能性が高いと言えます。ファルコン2000は内容物の影響を受けませんし、通常の防水シールであれば剥がすことなく検査が可能です。

■配管の検査

ファルコン2000では200A以上の配管から検査が可能です。ファルコン2000の特長として錆や塗装を除去する必要がなく、内容物の影響を受けないために稼働中検査が可能な点が挙げられます。また面探傷であることから定点測定では検出困難な局部腐食も明瞭に検出できます。現在国内の製鉄所でガス配管の検査に使用されています。